外国人在留資格・雇用・労務管理のいろは

■在留資格とは

 外国人が日本に滞在する場合、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)に定めるいずれかの在留資格を持って在留することになります。観光客などは、「短期滞在」という資格で3か月以内の期間で上陸時に許可された期間滞在できます。この場合は、日本国内において収入を得る活動はできません。

 現在、在留資格は27種類あります。このうち、就労が認められる資格とそうでない資格とがあります。

 ●在留資格に定められた範囲で就労が認められるもの
 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能

 ●原則として就労が認められないもの
 文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在

 ●就労活動に制限がないもの
 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

 なお、このほかに外交、公用、就職準備期間などに与えられる特定活動があります。

 日本においては、就労活動に制限がない資格、いわゆる身分系資格の永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者(日系人を含む。)を除いて、就労資格は専門性が高い者に与える原則になっていますので、いわゆる単純労働のための就労資格はありません。

 ですので、工事現場などで働いている外国人は、身分系資格者や資格外活動許可の範囲で働く、学生や家庭の主婦などがほとんどとなります。

■どんな外国人が雇用できるか
 企業が外国人をフルタイムの労働者として雇い入れる場合、上記資格中、就労が認められる資格を持っているか、あるいはそれに変更が可能かチェックする必要があります。

 また、例えば、ITエンジニアとして雇用したい場合、技術の資格があるか、あるいはいま留学で卒業とともに技術に変更できるか、若しくは身分系資格である必要があります。外国から採用する場合、日本において雇用主等があらかじめ在留資格認定証明書を申請して、資格の認定を受けておく方法が一般的です。

 技術や人文知識・国際業務の場合、短期大学を含む大学卒か卒業見込み(専門士となる場合は、卒業と同時に就職する必要があります。)、あるいは経験10年で学校で修得した専門とこれから就こうという業務が専門性でつながっていることなどの要件が出てきます。

■就労資格のチェック方法は
 外国人登録証明書かパスポートに貼り付けてある証印を見れば、その外国人がどのような資格で在留しているのかをチェックできます。

■主婦・留学生・就学生をアルバイトに雇いたい
 ●資格外活動許可〜家族滞在、留学、就学
 日本で働く外国人の扶養を受けている家族は家族滞在の資格で在留しているのがほとんどですが、奥様がパートに出たいとか、留学生や就学生がアルバイトをしたいなどのニーズが当然あります。この場合は、資格外活動の許可を取っておく必要があります。学生の場合は、学校側でアレンジしてくれるのが普通です。
 

 ●時間制限〜超えて働くと留学・就学の更新ができなくなります
 
 資格外活動は、本来の活動は別にあるわけですから、従事する時間に制限がでてきます。


留学生
大学等の正規生  28時間/週以内(長期休暇中8時間/日以内)
大学等の聴講生等 14時間/週以内(長期休暇中8時間/日以内)
専門学校等の学生 28時間/週以内(長期休暇中8時間/日以内)

就学生
4時間以内/日(長期休暇中も4時間以内/日)

家族滞在
28時間/週以内

 学生の場合、これを超えて働いてしまうケースが見られるわけですが、資格の更新時に学校の発行する出席証明書、本人の預金通帳や就労時間と収入の明細書などの提出を求められ、更新が不可となってしまうことがあります。


■雇用主への罰則規定
 資格外活動の許可を受けない学生や家族滞在の者などが就労したり、適切な資格なしに就労する行為、在留期間を超えて、いわゆるオーバーステイ状態で就労することなどを不法就労活動といい、本人への罰則があるわけですが、これらをさせた雇用主には、入管法第73条の2の不法就労助長罪となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられるなどの罰則が課せられる場合があります。


■就労資格証明書とは

 就労している外国人が転職をしようというとき、あらかじめ次の職が現在の在留資格で適切にカバーできるものかを確認するためにこの証明書を使用します。事業主も外国人を雇用する前にこれを取って確認すると安心できます。

■外国人労働者の雇用・労務管理

 ●労働社会保険への加入

 外国人労働者にも憲法に定める人権が適用され得る限り適用になりますので、労災・雇用・健保・厚生年金保険が日本人同様にそれぞれの要件に従って適用になります。労働基準法第3条にも「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と規定されています。

 ●義務としての加入・メリットの説明

 外国人が労災保険(これは事業主負担のみ)の他に雇用保険に加入するのは、控除金額の少なさから見ても納得されやすいと思います。ただ、健康保険と厚生年金保険がセットになっており、控除額も大きいので、義務と言う説明だけでは、加入に対して抵抗があるかもしれません。国民健康保険に加入すれば良いと考えるかもしれません。

 しかし、そうするのが法律で定められているというほかにも、厚生年金保険制度には、25年の加入期間が必要な老齢厚生年金だけでなく、比較的額の大きく、受給できる家族の範囲も大きい障害年金や遺族年金もあるし、帰国の際には脱退一時金の請求ができる、また、年金協定を結んでいる国の場合は、二重加入にならず、この期間も年金額に反映されるとの説明をすべきと思います。

 ●外国人雇用状況報告制度

 毎年6月1日現在で、派遣受入れや請負受入れを含んで、その事業所で働いている労働者がいる場合は、7月15日までに外国人雇用状況報告書を管轄の公共職業安定所に提出することになっています。これは厚生労働省のホームページから電子申請も可能です。

 ●労働条件・雇用契約・就業規則

 上記のように外国人にも同等の労働条件が設定されなければなりません。入管法上も 外国から安い労働力を調達というケースを避けるために、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をうけること。」と規定されています。

 雇用契約は、在留資格申請の前提となるものですから、当然あるわけですが、日本国内で一般的に使われている、互いの署名のない労働条件通知書形式より、相互に署名を交わす契約書形式にした方が、後日のトラブルを予防するのに有効です。

 常時労働者が10人以上の事業所では就業規則を作成・届出をしなければなりませんが、例え10人未満であっても就業規則を作成し、労働条件を明確にしておくことは、外国人を雇用する事業所においては特に望ましいといえます。就業規則は、英文あるいは英文併記、または中国語、スペイン語併記なども必要になる場合があります。

 ●「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」〜雇用労務責任者の選任

 厚生労働省の「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」では、第5において、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、雇用労務責任者を選定し、雇用・労働条件について適切なケアをするよう定められています。

 ●外国人労働者に対するケア   
 外国人労働者を雇用した場合や研修生を受け入れる場合などで複数の外国人がいない場合、特に心のケアとして食事に誘うことや、来日当初は休日も使って日常生活のガイド等の面倒を見るのが、孤立化を防ぐ意味などから必要です。また、外国人登録を必ず行うことや在留資格の更新なども気をつけておくことなどが、雇用労務責任者の選定の必要ない事業所においても是非やっておくのが望ましいといえます。

■外国人を派遣労働に従事させたい

 外国人を派遣労働に従事させたい場合、まず身分系資格での就労と資格外活動許可の範囲での就労は問題ありません。しかし、技術や人文知識・国際業務などでは特定型派遣業務としてフル雇用でないと在留資格認定証明が取りにくいと思われます。

■永住資格へ
 外国人労働者も就労資格で在留が継続して10年を超えるなどすると、永住資格に変更をする希望を持つようになります。資格の更新が不要になり、就労活動に制限がなくなるからです。帰化と異なり国籍を変える必要がありませんので、将来、本国に帰るのも自由です。

 しかし、就労系の資格より永住資格への変更を申請するには、善良要件をクリアしなければなりません。罰金以上の刑を受けたりするとこれがクリアできないことがありますので、雇用主としてもその辺の注意の喚起を普段からそれとなくしてやるのも良いかもしれません。
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